映画「つつんで、ひらいて」2022年05月06日

TAMA映画フォーラム特別上映会、ベルブホールにて「つつんで、ひらいて」を観てきました。
先日亡くなった装幀家、菊地信義さんのドキュメンタリーです。

まさに手仕事という言葉がぴったりの仕事っぷり。ハサミで切って糊付けして、じっと眺めて、ミリ単位でずらしてまた眺めて…。あれ?これは、カリグラフィーでも行う作業です。しかし素人には眺めていてもどれが正解なのかわからないので、途中であきらめるのがダメなんだなあ。とことん突き詰める姿勢に職人気質を感じます。

そしてチャレンジャー。夜中に思いついたアイデアを翌朝「良いこと思いついちゃった!」という顔で嬉々として試作する姿。なんか曲作りにも通じます。

「受注仕事の意義は?」の問いかけに「頼まれた仕事だからこそ、パワーが出てくることがある。人間の関係性はみんなそう」というようなことをおっしゃっていて、印象に残りました。

家に帰って、あらゆる本をひっくり返してみました。たぶん、この映画を観た方はそうしていると思う。
音楽の本以外は、建て替えるときに処分しちゃったのであまりなかったのですが、
「ファンダメンタルな楽曲分析入門(沼野雄司著)」が、映画にも出演されていた菊地さんのお弟子さん、水戸部功さんの手によるものでした。なんだかうれしい。


カルメル会修道女の対話~METライブビューイング2019年06月07日

今シーズン最後のメトロポリタン歌劇場ライブビューイングへ。

プーランクの「カルメル会修道女の対話」。
フランス革命時の実話に基づいた作品ということで、宗教の話しは難しそうだし、セットも地味そう。でも、プーランクのオペラなんて見たことがない(そのほかのオペラもそれほど見たわけでもないのだけれど…)ので、興味が湧きました。一緒に行ったのはいつものメンバー、ウスコ先生とけこねーさまです。

主人公のブランシュは、今で言うところのHSP(Highly Sensitive Person)です。世間ではとても生きていけないので修道院に入ります。普通とは違うという生きにくさ、死生観、恐怖、といった問題は現代にも通じる話しです。そう思って見ると、かなり面白くて最後まで固唾をのんで観てしまいました。

修道女たちが処刑されるシーン。16回のシャキーン!というギロチンにかけられる音がかなり耳に残ります。

みんな死んでしまったら、その後余韻を残す後奏的な音楽が続くのかと思いきや、ボンっというトニックであっという間に終了。カーテンコールに入りました。ああ無常、な終わり方…。

面白かったけれど、なんとなくどんよりした雰囲気で映画館を後にしたのでした。


METライブビューイング2019年02月15日

調子に乗ってホイホイ出かけていたら、あっという間に風邪をひいてしまった1月後半。
インフルではなくて良かったものの、早く治そうと真剣に寝たために腰痛に。胃腸もすっきりせずにウダウダ過ごした2月前半。

そんな中、うすこ先生、けこねーさまと久々にお会いして3人で映画館へGO!
メトロポリタンオペラのライブビューイング。今年は「椿姫」を鑑賞しました。
いやあ、ヴィオレッタ役のディアナ・ダムラウの素晴らしいことと言ったら…。ほれぼれしちゃいました。セットや衣装が四季の移ろいを表しているのもきれい。

もちろん生の舞台の臨場感とは比べ物になりませんが、休憩中にインタビュー映像やリハーサル映像が流れたり、指揮者が指揮棒を飛ばしちゃったりする瞬間を見ることができるのは、映像ならではの特典でございます。

「椿姫」は昨日終了し、来週から「アドリアーナ・ルクヴルール」が上映されます。

ピアソラ 永遠のリベルタンゴ2019年01月06日

Bunkamura最終日にピアソラの映画を観てきました。最後の一席だったので最前列。首が痛い…。

CMにも使われ(ヨーヨーマのリベルタンゴ!)、フィギュアスケートにも使われ(最近では宇野昌磨選手のロコへのバラードが印象的。歌っていましたね)、よく耳にするピアソラの音楽。亡くなった友人と「連弾しようね」と各々で練習していたけれど、合わせることはかなわなかった「ブエノスアイレスの春」は今でも聴くと涙腺がゆるみます。

タンゴを変えたと言われていますが、どのような人生を送ったのかは知りませんでした。パリに留学したり、音楽を吸収することに貪欲だったのだなあと思いました。

「音楽は、考える人のためのものだ」
一番心に残ったシーン(セリフ)です。


ボヘミアン・ラプソディー2018年11月28日

Queenの映画「ボヘミアン・ラプソディー」を見ました。
それほど洋楽に詳しいわけでもない中学・高校生時代でした。ピアノのおけいこに励み、和声や対位法の勉強を必死にしていた頃ですから。でも、そんな私にもフレディ・マーキュリーの声は届いていたし、ラジオから流れてくる曲も変わっていて記憶に焼き付いておりました。高校の友人が、4オクターブの声域のことや、奇抜な、というかセクシーな?写真も見せてくれたりしたのも覚えています。
そんな私が何となく「Queenの曲が聴けるから楽しいかもしれない…」くらいの動機で観に行ったのですが…。

いやあ、良かった!
音楽はもちろんのこと、ストーリーも引き込まれて、後半はかなりぐずぐずに泣いておりました。ティンパニーやピアノの弦の上にいろいろなものを置いて演奏しちゃうレコーディングのシーンはあの時代ならでは、な感じがして興味深かったし、最後のライブエイドのシーンは圧巻。

今も、頭の中をフレディの声がぐるぐる回っております。